審美歯科という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。
保険診療による通常の歯科治療では、むし歯や歯周病など悪くなった状態を改善することに注力します。そのため治療後の見た目、仕上がりという点には重きをあまり置かず、治療前よりも治療後の見た目が悪くなってしまう場合もあります。むし歯や歯周病の症状は改善されているので治療自体は成功していますが、そのことが気になる人もいるはずです。そのような人のための歯科治療が審美歯科となります。
審美歯科では症状の改善、機能の回復ではなく、見た目を良くすること、審美性を取り戻すことを目的とした歯科治療となります。美しい口元になることで自分に自信を持てるようになり、表情が明るくなったり人前でためらわずに笑えるようになったりします。
以下のような状態のときに審美歯科は有効といわれています。
銀歯が気になる
削った箇所を金属素材でかぶせる銀歯はむし歯治療において有効な手段の一つといえます。しかし金属であるために光沢があり、それが他の天然歯の中に並んだときに目立つことがあります。その材質に白いセラミックなどを用いることで本来の機能を損なうことなく、自然な仕上がりを実現することができます。
歯を白くしたい
白い歯は見る人に良い印象を与えるといわれています。歯を白く美しくするのも審美歯科治療の一つです。
美しい歯を長持ちさせたい
保険診療で用いられる素材は安価である代わりに年月経過により色落ちしたり、変形したりすることがあります。審美歯科で用いるものはそれよりも長いあいだ品質を保てる物がほとんどです。
ホワイトニングとは過酸化水素を主成分とする薬剤で天然歯を漂白することで白さを出していく歯科治療です。漂白と聞くと不安に思う人もいるかもしれませんが、使われる薬剤は全て厚生労働省の認可が下りており、その安全性は保証されています。
歯の白さが重要視されるアメリカにおいてはかなり以前から行われている一般的な歯科治療でしたが、近年は日本においても人気が出ています。
過酸化水素(過酸化尿素の場合もある)を主成分とした薬剤で歯の表面のエナメル質に付着している着色成分を分解し、それによって歯本来の白さを出していきます。どのくらいの白さにするかは調整可能で、医師と相談しながら患者様が決めることができます。
ホワイトニングは「ホームホワイトニング」と「オフィスホワイトニング」の二種類に大別できます。それぞれ自宅(ホーム)とオフィス(歯科医院)で行うホワイトニングのことで、異なった特徴があります。また両方のメリットを併せ持つデュアルホワイトニングという方法もあります。
ホームホワイトニング
歯科医院で作製したオーダーメイドのマウスピースに薬剤を満たし、それを自宅で装着することで歯を白くします。じっくりと時間をかけて漂白することから効果が持続するというメリットがありますが、自分で管理・習慣づけしなければならないことと歯が白くなるまでに一定の期間を要する点に注意が必要です。。
オフィスホワイトニング
ホームホワイトニングとは違い、歯科医院で医師により行われます。歯科医師が治療に当たるため濃度の高い薬剤やレーザーを使用することができ、そのため効果が高く、短い期間(一回の治療)で歯を白くすることが可能です。その代わり白さの持続期間はホームホワイトニングよりも短くなります。
デュアルホワイトニング
ホームホワイトニングとオフィスホワイトニングを併用し、言わば良いこと取りをする方法です。短い期間で白くすることができ、持続期間も長くできますが、費用は若干高くなります。
陶器でできた材質で、特徴としては白く滑らかな美しさを実現することができます。
この材質をむし歯治療に用いるインレー(詰め物)やクラウン(被せもの)に使うことで、自然な仕上がりにすることができ、そのため周りの天然歯の中で目立たなくさせることができます。
また近年では「オールセラミック」というセラミックで100パーセントできている材質への注目が高まっています。これは他のセラミック製品と比べてもとくに透明感に優れ、また光を滑らかに通します。光を通すとより自然な仕上がりに見えるようになると言われています。
当院ではセラミックをお勧めすることが多いですが、それは審美の面だけはなく機能においても優れたところがあるからです。まず金属でないため銀歯のように金属イオンが溶け出すことがなく、歯茎が黒く変色するという事態を避けることができます。また金属アレルギーが起こる心配もありません。材質自体が安定しているため、接している歯や歯茎に悪い影響を与えることもありません。
以下にその他のセラミックを紹介します。
べニアと呼ばれるセラミックをごく薄く削った歯の上に張りつけることで白さを実現します。すでに神経が死んでしまっているなど通常のホワイトニングでは白くできない、白くしにくいときに主に用いられます。
メタルボンド
セラミックを金属でできた枠組みの上にかぶせています。金属を含んでいるため強度が高いという特徴がありますが、審美性や透明感はオールセラミックには及びません。
審美治療において用いられるセラミックはその多くが「自由診療」によって提供されます。自由診療とは保険証の範囲外の治療を指し、そのためかかる医療費は全額が自己負担となります。保険証の範囲内の保険診療では三割負担です。そのことから自由診療にするのかあるいは保険診療を選ぶのかは医師と相談して決めてください。
そう聞くとお金持ちの人のための治療か……と思われる人もいるかもしれませんが、決してそうではありません。自由診療で提供できるセラミックなら「自然な仕上がり」「美しい見た目」「身体に優しい」「長く使える」という点を実現することができます。長いスパンで見た場合には自由診療の方がコストを抑えられることもあるので、高い効果を得たいという人は是非一度ご相談ください。
以上のことから考えて、銀歯と比べてセラミックのメリットを挙げると
というようなことが言えるでしょう。
セラミックは歯を美しくするための贅沢品でお金持ちが入れるものと思っている人もいるかもしれません。
確かに保険がききませんので値段が高くはなりますが、セラミックは単に見た目がきれいなだけが特徴の贅沢品ではなく、様々な長所を持っているため、次のような人にも最適な材料だと言えるでしょう。
こんな人にセラミックは向いている
ここではすでに銀歯を入れている箇所にセラミックを入れ替える場合の治療の手順を説明します。小さな詰め物で歯の山の部分を覆わないものをインレー、大きめのかぶせもので歯の山を覆うものをアンレーといいますが、既存の銀歯を外してセラミック製のインレーもしくはアンレーに替えていくという段取りになります。
1日目
2日目
このように、通常2回のステップで終了します。
審美歯科は見た目を美しくするだけでなく、機能の面においても優れたことにすることで口内の環境を長く健康的に保つことができます。見た目のコンプレックスが解消されることで日々を明るく過ごすことができるようになりますし、歯が健康であることは身体全体の健康につながります。そのため審美歯科は多くの方に受けていただきたい治療だということができます。
しかし審美歯科のメニューの中には、美しさを優先するために歯を削るなど、まだ健康な状態を犠牲にしなければならないものもあります。例えば歯並びを整えるために健康な歯を抜いたり大きく削ったりして、その上から見た目が自然なかぶせものをするという治療があります。たしかにそれによって通常の矯正治療よりも短い時間で美しい口元にすることはできるかもしれませんが、まだ健康な歯を削ることでその歯の寿命を縮めてしまっていることは間違いありません。長いスパンで考えた場合にそのような治療が本当に患者様のためになっているのか、と疑問に思える治療を提供している歯科医院があることも事実です。
当院では患者様一人一人の状態や考えをきちんと見極め、常にコミュニケーションを取りながら患者様にとって本当に最適な審美歯科治療を提供しようと心がけています。
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